サポート・支援事例

2024/03/23
最期を託される
H様(女性 享年76歳)

市営団地にお一人住まいで、結婚歴なし。

親族は居るものの、高齢で近年は疎遠になっている。

しかも末期がんを患われており、余命も3ヶ月から半年という状況。

地域包括支援センター経由で相談を受け、本人様とご自宅にて面談を実施。

団地の5階に住まれ、この頃はご自分で自立した生活を送られており、

大きな病気を抱えておられる様には見えませんでした。

面談時、かなり疑心暗鬼で対応されている様子が伺えましたが、詳細をお聞きするうちに、お気持ちを理解する事かできました。

“最期を託す人”という位置づけを考えると、疑心暗鬼になる事も当然で、残された時間を考えると尚更であったと思います。

幾度かのお電話や面談を経て、ご契約を結ばせて頂く事になりました。

契約の翌日に病院受診に同行し、主治医をはじめ、担当看護師、ソーシャルワーカーの方々ともご挨拶をさせていただきました。

この時の情報では、余命も1ヶ月単位もしくは1週間単位で診てもいい状態であるとお聞きしました。

既にホスピス(緩和ケア)を設けている医療機関への入院を調整されており、この入院に際して、保証人、身元引受人が必要となり、本人様を含め周囲の方々も気が気ではなかった様です。

ようやく話が進み始め、受け入れ先も決まったところで本人様が体調を崩れ、入院される事になりました。

そこから数日後にホスピスへ転院し、丁度1週間後にお亡くなりになられました。

契約をしてから3週間ほどの期間で、目まぐるしく状態が変わられ、瞬く間の出来事でした。

事前の打合せをしっかりさせていただけていた事で、ご遺体の引取りからご自宅の整理等々までスムーズに終える事ができました。

生前に“亡くなられた弟様のお墓に納骨して欲しい”とのご要望がありましたが、“おおまかな地名”と“風景”“墓石に名前が入っている”とういうキーワードしかお聞きできていませんでした。

転院された当日に再度本人様確認を行い、現地に向かいました。

複数の墓地を巡りましたが、最終的にお墓を確認する事ができました。

後にお墓を管理されている義妹様とも連絡が取れ、幸いご遺骨も無事お引渡しすることができ、本人様のご希望通りの結果となりました。

その際に、実のお兄様ご夫婦等も同席され、これまでの経緯をご説明させていただきました。

元々気の強い方で、人に頼る事を安易にされない性格でもあったとの事。

その事を踏まえ“本人らしいですね”と皆様仰られ、“自分たちも近くに居ても何もしてあげられなかった”と悔やんでおられましたが、“自分たちの代わりに、面倒を見てくれる人が居た事がせめてもの救いでした”との感謝のお言葉も頂戴いたしました。

この言葉をお聞きした時に、えにしの会が関わった事に意義があったのかなと感じた瞬間でした。

こういったお声をいただく事にやりがいを感じますし、誠実に対応する事の

大切さを再確認した事例となりました。